この度、現役生から5学連のことを書いて欲しいという依頼がありました。広大バレー部に関わって9年、現在は事務職員として広島大学に採用され、コーチとして選手と共に歩みを進めているところですが、私の話についてはまたの機会にさせて頂くとして、ここでは毎年8月末に開催されている西日本大学バレーボール5学連男女選抜対抗戦大会について、OBの皆様にお伝えしたいと思います。
今年で第10回を数える西日本大学バレーボール5学連男女選抜対抗戦大会は、西日本の5つの学連(中国、四国、九州、関西、東海)が選抜チームで頂点を競う中で各学連のレベルアップを図り、西日本全体のレベルを向上しようと開催されるものです。指導者、選手の中では、「5学連」と呼ばれており、広大バレー部からも毎年女子の多くと男子数名、そして男女スタッフが中国学連の代表として参加しています。
昨年に引き続き、今年も中国学連男子スタッフ(コーチ)として参加する機会を得ることができ、東亜大学佐幸法昭監督と共に九州の地で戦ってきましたので、プレー面における大学男子バレーの現状と考えさせられたことについて報告したいと思います。
オフェンスについては、クイック、レフト平行、ライト平行(低いライトバック)、パイプの4枚攻撃をどのチームも実践しています。ただし、同じレフト平行でも、ウイングスパイカーの身長が180cm前後の東海、九州等は、非常に速い(Bクイックの延長のような)トスをコースへ打ち分けています。クイックは少なめで、オポジットにスーパーエースの役割を与えているチームは、要所は基本的にライト側で得点していきます。これらの攻撃の中で、ミドルブロッカーの一人時間差やウイングスパイカーの時間差、セッターのツーアタック等の変化をつけますが、びっくりするような奇想天外な攻撃を目撃することはほとんどありません。
ディフェンスについては、どのチームも基本的にはリードブロックを採用していますが、西日本の選手は身長がそう高くないこともあり、厳密なリードブロックというより、なんとかしてクイックを使いづらい状況をつくりあげてサイドアタッカーをブロックすることに注力しているようです。また、前述したような高速の平行トスについては、マンツーマンで勝負ということも戦術としてよく見られます。
そこで勝負の焦点は、如何に早い段階でセッターの選択肢を限定するかということになるのですが、ここで重要になるのがサーブです。5学連のレベルにおいては、レセプションがいい形でセッターに返った場合、かなりの高確率で得点でき、そのことを選手自身も理解していると思います。しかし、レセプションを乱す効果的なサーブを、自信を持って打っている選手はそう多くありません。もちろん、絶対にミスをしないサーブを打つこと、あえてリベロにサーブを打って相手のコンビネーションにブロックを仕掛けることはあり得ることですが、攻めるべきポイントで思い通りの位置に、ミスなく効果的なサーブを打てるかどうかは勝ち負けを左右するとても重要な問題です。
今大会において、前年度優勝の中国は決勝で九州に敗れ、準優勝という結果でしたが、その敗因は九州の強いサーブに押され、序盤から攻撃が単調化したことにあります。追う立場となった中国のサーブは攻めきれず、相手クイックを効果的に決められて点差を詰めることができませんでした。
この大会はフローターサーブの変化が大きいことで話題のミカサ新ボール(MVA300)を使用して行われたため、特にサーブに関しての印象が強く、サーブの重要性について改めて考えさせられる大会となりました。サーブがどのカテゴリー、どのレベルにおいても非常に重要であることは、多くの指導者、選手が実感していることだとは思いますが、この報告が、練習での位置づけや選手の意識について再確認するきっかけとなれば幸いです。
これからも選手と共に多くのことを学び、バレーボールを通じて成長していきたいと思いますので、ご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い致します。 |