先日、後輩から「コートの仲間」の原稿依頼を受けました。当初は、「私なんかが書いて良いのだろうか」という気持ちもありました。しかし、これを機会に広大バレー部のOBの方々とも繋がりを持ちたいと思い、書いてみようと思いました。今までの経験や心境等を素直に綴ってみようと思います。
大学を卒業してから2年が過ぎようとしています。私は現在、香川県内の県立学校で体育教師として勤務しています。この夏に香川県教員採用試験に合格し、現在は講師という立場ですが、来年度からは正式に教諭として学校現場に足を踏み入れることになります。この数ヶ月間、実際に教鞭を執ってみて、教員という職業は私が想像していた以上に魅力的でやりがいのある仕事だと感じています。周りで支えてくれる同僚の先生方、素直でまっすぐな生徒たち、バレーボールができる環境。さまざまな要因がリンクし合って、本当に恵まれた環境の中で生活できていることを幸せに思います。もちろん、良いことばかりではありません。教育現場において、自分の無力さを思い知らされることや、授業が思ったようにうまくいかず悔しい思いをすることもたくさんあります。このように、毎日山積みになる課題と日々格闘し、試行錯誤しながら充実した毎日を過ごしています。
先に述べたように、現在は教員をしていますが、大学卒業後すぐに教員の道へ進んだわけではありません。卒業してすぐは、香川県にあるVチャレンジリーグの四国エイティエイツというチームに所属していました。チームに在籍中は、支援してくださっていた家電販売店で日中は勤務し、勤務が終わってからチームメイトと集まって練習していました。大学の部活と同じように感じるかもしれませんが、少し違っています。このチームでは、Vチャレンジリーグに出場するだけでなく、地域のイベントに参加したり、バレーボール教室を行ったりと、大学バレーとはまた違った世界を見ることができて、とても新鮮でした。そして、チームに所属した当初の不安がやる気に変わり始めていた昨年7月、チームの本拠地を県外に移すということが突然決定しました。所属して3ヶ月たった日のことでした。私に与えられた選択肢は、そのままチームに残って香川を離れるか、退団して香川に残るかという二択で、悩んだ末、退団する道を選びました。結論を出すまでには、これまでの人生の中で一番と言っていいほど悩みました。たった3ヶ月でバレーボールを辞めてしまうというのは、自分自身が納得出来ないという気持ち、まだまだバレーボールがしたいという気持ち、支えてくださっている方々に申し訳ないという気持ち。いろいろな想いが交わって本当に苦しい時期でした。友達や家族に相談して自分の気持ちをもう一度思い返してみたとき、地元である香川県でバレーボールに関わり、貢献していきたいという想いが強かったので、チームを離れ地元に残る道を選びました。3ヶ月間という短い間でしたが、応援してくださった方々への感謝の気持ち、人と人のつながりの大切さ、当たり前のようにバレーボールができることの有難さ、また社会の厳しさなど、学生の時以上に感じることができました。このチームでの経験は、私にとって無駄なことは何一つなく、とても中身の濃い3ヶ月間でした。
四国エイティエイツを退団して数ヶ月。この経験をどこかで生かせる仕事はないかと探していたとき、高松市内の中学校で臨時採用ではありましたが、学校現場に立つ機会をいただきました。ここが私の教員生活の始まりです。まさか私が教員になるとは思ってもいませんでした。ですが、実際に教職に就いてみると、これまでの経験が最も生かせる仕事ではないかと思いました。臨時採用の任期を終え、もう少し学校に残りたいと思っていたとき、今年の4月から現在の高校に赴任することになりました。嬉しいことに、部活動の顧問も私の専門であるバレーボール部です。私なりに精一杯指導しています。今まで経験してきたことを少しでも生徒に伝えていけたらなと思っています。
こんな私が今教員としてやっていけているのも、教員採用試験に合格できたのも、高松大学の池内先生をはじめ、沢山の方々の支えや励ましの言葉のおかげだと思っています。本当に感謝しています。また、香川県周辺のOBの先生方には、練習試合をしていただいたり、合宿でご一緒させていただいたりと、大変お世話になっています。こうして、教員という職業やバレーボールを通してOBの先生方とつながりを持てることを嬉しく思っています。今後も、教員として、指導者として、そして人として大きく成長していけるように日々努力していきたいと思いますので、ご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い致します。
私にとって広大バレー部で過ごした4年間はかけがえのないものです。かけがえのない仲間とともに、かけがえのない時間を過ごすことができました。今振り返ってみると、大好きなバレーボールを思う存分にできた4年間はとても幸せな時間でした。当たり前のようにバレーボールができる環境があり、バレーボールだけでなく人として大切なことを沢山教えてもらえたこと、バレーボールを通して沢山の人に出会い全国各地につながりができたこと、最高の仲間がいたこと。ともに泣き、笑い合った日々が本当に幸せなことだと思います。苦しかった時期、心が折れそうになった時期ももちろん何度もありました。ですが、その全てが今の私にとって必要な経験であったと思うし、この経験がなければ今の私はなかっただろうと思います。そして、同期のみんな、先輩方、後輩たち、監督、コーチの先生方、OBの方々、広大バレー部を支えてくださった全ての方々に心から感謝しています。これからは、広大バレー部OBとして恥じることのないよう、感謝の気持ちと努力することを忘れず、頑張っていきたいと思います。
最後になりましたが、今後の広島大学バレーボール部の益々の発展とご活躍を心から祈念申し上げます。 |