コートの仲間第25号 OBからの一言


Click your color !
 
同窓会トップページに戻る スーパールーキー(2)に戻る OBからの一言(2)に進む

福山への手紙
28期 林 直人
 広島大学バレーボール部福山時代にたいへんお世話になりました先輩の皆さん、また、同輩、後輩の皆さん、長らくご無沙汰しておりますが、お元気でしょうか。
卒業以来、早、35年が過ぎ、教職生活のゴールも見え始めました。年を経るごとに、福山時代を共にさせていただきました先輩、同輩、後輩の皆さんの顔を思い浮かべることが多くなりました。無事ゴールしたら、皆さんをぶらりとお訪ねする気ままな一人旅にでも出たい気持ちでおります。

 今回、図らずも「コートの仲間」の原稿依頼を受け、喜んでお引き受けしましたのは、こうした思いを皆さんに伝いたいという気持ちからです。私にとっては、“広島大学バレーボール部=福山”であり、35年を経ても、福山時代の毎日は鮮やかによみがえります。
 思い出すのは、バラ公園(噴水で水浴びしました)、バラ荘(風情と趣のある古民家でした)、とんぺいさん(今もYouTubeで名人芸が見れます)、スターさん(先輩にお供しました)、国輝堂さん(高体生御用達)、〇〇スポーツさん(個人的にほんとにお世話になりました)、丸目屋さん(人のよさそうなおばさんがやってました、某A先輩の作った「丸目屋音頭」は今でも歌えます、ちなみに某B先輩の作詞作曲の「住吉川」も歌えます)、アサヒさん(リッチな朝食はここで)、高志寮(一度足を踏み入れると出れません)、学食(寮から遠いのが難点)であり、フライングするととげが刺さりそうだった年代物の体育館(入試に行って驚きました)、私たちの年からデザインが変わった高体ジャージ(先輩のはかっこよかった)…でした。どれもこれも子どもじみたことばかりです。そんな中で過ごした3年間には、嬉しいことも悲しいこともいろいろありましたが、今思うと、無駄なことは一つもなかったように思います。
 アルコール飲料を口にするたび「人生には裏と表がある…」と呟く人がいました。「喧嘩は場数ですよ」と豪語する人がいました。先輩の物真似をして密かにほくそ笑む人がいました。私が今でも思い出すのは、福山で出会った人たちの他愛ない一瞬の言葉や表情ですが、そうした人たちのおかげで、今の自分があることを感じます。たくさんの人とのいろいろな出会いが、人としての自分を支え成長させるのだと、今、実感します。

 失礼ながら、今回、原稿依頼を受けて初めて広島大学バレーボール部のホームページを拝見しました。今の学生の皆さんが“デジタルネイティブ”であることを実感しました。実家との連絡手段が、“公衆電話ボックス”であった私の福山時代からすると、まさしく隔世の感です。そんな皆さんもいずれ私と同じように“学校の先生“になっていかれる方が多いことと思います。
 現在私は中学校に勤務しており、特に、将来の職業的・社会的自立をめざすキャリア教育を柱にした取組みを進めているところです。私を含め“先生”は、そのほとんどが、学校で学生生活を過ごし、学校で社会人生活を過ごすことになります。学校を出て学校に戻るわけです。大学3〜4年で、教職以外の就職活動をする人はごく稀なことでしょう。学校外の社会に触れることなく社会人になってしまうのが”先生“であるわけですが、逆に、その教え子の大多数は、”先生が触れたことのない学校ではない社会“に出ていきます。そう考えると、”学校において社会で自立するための力を子どもにどうつけるか“ということは、先生にとって、たいへん難しいことであるような気もします。
 “公教育はサービス業”というような捉えられ方をする時代になりました。このような風潮を簡単に容認することはできませんが、同時に、子どもや保護者のニーズと無関係なところで、学校が独りよがりに良かれと思う教育活動を進めることのできない時代であることも事実です。子どもや保護者が学校や教育に求めたり期待したりしている想いを感じ取るアンテナを高く張っておくことが大切です。ともすれば、学校というある種閉鎖的な社会で過ごす“先生“が陥りやすい独善性に、絶えず注意を向けておくことが必要です。”先生“である自分を客観的に眺められる視点を持つためには、若いうちから広くいろいろな人と出会い関わることが欠かせません。その人たちの目に自分がどう映っているかを感じ取れるようになっていただきたいと思います。これから”学校の先生”になっていかれる皆さんに、お伝えしておきたいことです。

 駄文が長々と続きました。これも、先輩、同輩、後輩の皆さん、そして、福山への郷愁の想い故とご容赦ください。
 最後に、このような寄稿の機会をいただきましたことに感謝いたしますとともに、広島大学バレーボール部の若い皆さんが、今後長い将来に渡ってご活躍されますことを祈念してキーボードを閉じることといたします。ありがとうございました。

同窓会トップページに戻る スーパールーキー(2)に戻る OBからの一言(2)に進む

Copyright (c) 2010 広島大学体育会バレーボール部 All right reserved.
赤 黄 緑 水 青 紫 灰 白 黒