ファシズムに立ち向かったチャップリンの映画「独裁者」は製作中から脅しの手紙が舞い込んだという。しかしニューヨークで上映されると連日の大入りになる。ヒューマニズムあふれる名高い結びの演説は、多くの観衆の心を打った。「わたしたちは、みんなお互い助け合いたいと望んでいます。……わたしたちは、他人の不幸によってではなく、他人の幸福によって、生きたいのです。」(天声人語参照)
75年を経た今もこの演説がわたしたちの胸に強く響くのは、これだけ文明が進んでも、世界中で紛争や虐待が後を絶たず、多くのこどもたちが極度の貧困にあえぎ、小学校に通えない子が5670万人。5歳までに亡くなる子は年に600万人と多くの不幸が未だに続いているから…!?
わたしたちの身近な生活に目をやると、「孤(個)食、一人遊び、コミュニケーション不足の行きつく先は団結力の低下、組織活動の不成立など、同窓会活動の消滅が時代の趨勢になりつつある。かつて団結力の強さで定評のあった体育系クラブですら縦横の関係を維持するのが難しくなっている。……先輩も後輩も己の城にこもった生活をするようになってきている。それで良いのだろうか。(体育科同窓会会報第65号:西村清己 特別寄稿抜粋)」
こうした問題意識から、本年度11月3日に広島大学体育会同窓会「広島県支部」が設立され、その設立総会に105名もの広島県在住の同窓生が駆け付けた。西村先生が提唱された『人材育成同好会』をキーワードとするこの組織は、世のため人のため役に立つ人材の育成と社会貢献を目指す。今後は同窓生相互の活発な交流と支援に向けた勇気ある行動が試されることになる。
さらに、身近なわたしたち広大バレーボール部同窓会に目を向けると、1年に一度の現役生と同窓生の絆づくりは果たして発展的歩みとなっているのだろうか。現役の学生は、本年度も西村先生主導の「自然体験キャンプ」への支援や「もみじ杯小学生バレーボール大会」の運営、夏冬の「高校生バレーボール教室」への支援など社会貢献活動を続けている。わたしたち同窓生は、学校で、会社で、地域などで社会貢献にいそしんでいる。それぞれが、世のため人のため献身的な日々を過ごしていることは間違いないが、1年に一度はそうしたすばらしき生き様を見せ合い、刺激し合う日を共有する先輩・後輩・仲間がもっともっと増えても良いのではないか。
私は、毎年、生徒への自己紹介で「わたしたちは、生まれたときからみんな幸せになる権利を持っている。よって、わたしたちは、みんなを幸せにする義務がある。」という言葉を引用して、授業にクラブに心温かい仲間づくりを目指している。家族の幸せはもちろんのこと、まずは、身近な所から身近な人を幸せにすることに献身的な日々を過ごそうとしている。そして、もう一歩踏み出して、西村先生の社会貢献活動をお手伝いしながら、先生の背中から人生を学んでいる。広大での高校生バレーボール教室のお世話をして、バレーボールを通して心を磨いている高校生から喜びをもらっている。広大バレーボール部同窓会・強化練習会に毎年出席して、献身的に世話する学生とそれにこたえて奮闘努力する高校生から元気をもらっている。『人材育成同窓会』の理念を実践しているわが広大バレーボール部同窓会の歩みに誇りを持っている。
西村先生の特別寄稿にある「かつて団結力の強さで定評のあった体育系クラブですら縦横の関係を維持するのが難しくなっている。」の言葉が現実味を帯びるのは、すぐそこかもしれない。この2月に、広大体育会同窓会が広大の各クラブ同窓会の団結力の希薄さを問題提起して、活発化を促すという。広大バレーボール部同窓会は、この生きることに四苦八苦せざるを得ない時代だからこそ、手本となる組織を目指したい。わたしたちは、他人の不幸によってではなく、他人の幸福によって生き、みんなお互いに助け合う時代をつくりたい。
どうか、ほんの少し、同窓会出席へのエネルギーと時間をください。そして、広大体育会バレーボール部同窓会が、ますます世のため人のために役に立つ力を育む魅力的な『人材育成同窓会』となるよう、みなさまおひとりおひとりの力をお貸しください。
本年度は、3月19日(土)同窓会及び強化練習会・20日(日)強化練習会です。みなさまのご参加を心よりお待ちしています。
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