今回原稿依頼を受けた際、学生さんたちと会話をすることが出来、広島大学バレーボール部の現役の皆さんの活力を感じうれしく思いました。 少子高齢化社会を迎え、これからの社会の担い手となる若い皆さんの活躍に期待するところは大きいので、学生時代に様々な学習や経験をしっかり積んで下さい。
私にとって、大学4年間は保健体育科教員を目指す知識や技能を習得するだけでなく、素晴らしい仲間や先生方に恵まれ、視野を広げることが出来ました。世間知らずの楽天家だった私にとって、驚きと感動の体験が詰まった充実した学生生活でした。西村清巳先生には特にお世話になりました。就実高校の恩師高木先生から、西村先生の大物ぶりは聞いていたものの、本当に先生は時には大地のように、時には山のように、自然をこよなく愛されるダイナミックな方でした。決して流行に流されず人としての本質を見つめられている先生は、考えの甘い未熟な私たちをよく叱咤激励して下さいました。お元気でいらっしゃいますか。思い出すたびに胸が熱くなります。
昭和54 年に卒業し、倉敷市立南中学校(当時最も多い時で生徒数1300 人の大規模校)に赴任して以来29 年、中学校教員として大勢の中学生に関わってきました。生徒や保護者、教職員や専門家から多くのことを学び、学校教育の大切さを痛感する毎日です。教育により人は心身ともに健康に変容します。人は生まれ、家庭で育てられ、幼稚園、小学校、中学校、高校、さらにその上の上級学校へ進み、社会へ出て行きます。子どもを産み育てる親は身近な教育者であり、我が子が自立出来るよう養育する義務があります。学校の先生は、教育のプロとして専門性を生かして子どもたちの将来を見通して、個性や能力を伸長する努力をしなければなりません。子どもたちが成長する上で、良き教育者・指導者に出会えるかどうかは、その後の生き方を大きく左右します。特に部活動の指導者は、心技体のバランスのとれた人間形成を目指したもので、影響力は言うまでもありません。
私自身、中学校、高校、大学で良き指導者に恵まれ、そこで学んだことが今の生活の原点となっています。就実高校バレー部から広大に進学した後輩に、鈴木さん(31
期)、鳥岡さん(34 期)、迫田さん(46 期)、矢本さん(48 期)がいます。(他にもいらっしゃったらごめんなさい。)まさに文武両道でした。私と違うところは、4人とも高校で全国優勝や準優勝を成し遂げていること。鈴木、鳥岡の2人は、出身中学校(備前中)、恩師も同じです。ここのところ母校の成績はいまいちですが、私は今でも母校や恩師、素晴らしい後輩を誇りに思っています。この感謝の気持ちを、指導者として子どもたちに還元したいと思うものの、自分がしてもらったことには到底及びません。
現在50 歳を越えてもなお、暑さ寒さの中、休日もあちらこちらの練習試合に出かけ、生徒たちを叱咤激励する日々を送っています。そう強いチームを作るわけではないのに若い人たちと同じようなことをするのは無謀ですかね。「そんなの関係ねぇ〜」「生徒たちをなんとかしたい!」という熱意が続く限りは頑張ろうと思います。4校目、4年目になる現任校は、全校生徒87
人の小規模校です。生徒は男女間や学年を越えて仲良く協力出来る素朴さがあり、何事にも一生懸命取り組みます。学年が上がるにつれ、望ましい変容が見られます。しかし、幼少時より固定的な小集団で育ってきたため、様々な課題があり、支援を必要とする生徒が増えてきました。13
年ぶりの担任をした1年目は、1学年1学級、担任が一人で主任の仕事から副担任の仕事まですべてをやることに戸惑いました。その上、3学年の家庭科の授業を生まれて初めて担当することになり、教材研究に苦労しました。(生徒の皆さんごめんなさい。)定期テストはパニックになりながら6種類作りました。教職員数は、管理職、非常勤、事務等を含め15
人、校務分掌もたくさん担当します。
今は、教務主任をして2年目、学校行事の運営、時間割・成績処理、人権教育担当、部活動担当、そして副担任として担任と一緒に総合的な学習の時間や給食指導にも携わっています。恐るべし小規模校です。体育主任として、運動会の運営・指導はもちろん、支部駅伝競走大会に向けての指導、支部ダンス発表会・市民バレーボール大会の運営、県エイズ(性)教育の実践発表など、対外的な仕事も担当してきたので、忙しく「体が3つ欲しい」「1日がせめて28
時間あればいいのに」と思うことがあります。
そんなこんなでいろんな勉強をさせてもらい、自分の引き出しは増えましたが、家族に迷惑をかけていることが悩みです。野球命の息子二人は、今年ダブル受験!あてにならない母はエールを送り続けるだけ。バレーボールをしている小6の娘が母に代わって家族の心を癒してくれています。主人や義父母には頭が上がらないくらい助けてもらっています。母、妻、嫁として家庭を大切に出来ないようでは、他人に関わる良い仕事は出来ないのではないかと反省しています。(気付くのが遅い!でも人生まだまだこれから。)これを機に自分の生き方を見つめ直し、自分や周りの人々の幸せを考えたバランスの良い生き方をしていきたいと思います。
以上、取り留めのないことを書き並べ、読み苦しいものになってしまったことをお詫びします。終わりになりましたが、広島大学バレーボール部の指導者、学生の皆さん、そしてOB
の皆様方のますますのご健康とご発展を祈念致します。 |