テレビや新聞でスポーツ選手の引退表明を目にすると、自分がバレーボール選手としての境界線をどこに引くかを最近考えるようになりました。私は広島で生まれ育ち、小学校3年生の時からバレーを始め、現在バレー歴は24
年になります。しかし、中学、高校、大学の節目では引退らしきものも味わいましたが、選手としてバレーから完全に離れるという気持ちには至りませんでした。そして、今年32
歳になって、未だ広島教員団の6人制と地域の9人制でバレーを続けています。週2回の練習は、スキルアップというより体力と技術の低下防止になりつつありますが、年間に多くの試合に出場して楽しんでいます。
ところが、9月の天皇杯・皇后杯広島県予選で、バレー人生を大きく左右する試合がありました。私たちのチームは決勝戦まで駒を進め、教え子のいる広島大学と対戦することになりました。夏の練習試合では互角に戦うことが出来ていた相手に、絶対に負けるわけにはいきませんでした。必死にコートを駆け回りプレーしましたが、結果は見せ場もなくストレート負け。リベロで出場した私は、2セット目から足が全く動かず、正面のボールにすら反応出来ず、悔しさだけが残りました。試合後に教え子の生徒から、「先生まだまだいけますね!」と声をかけられましたが、恥ずかしさでいっぱいでした。自分の下手さに声も出ませんでした。こんな思いは初めてでした。選手としてはもう限界かなと思いながら、体育館を後にしました。
数日後、同僚の柔道の先生にこの話をした時、「バカじゃのう。歳を取ったら体がついてこんのは当たり前。でも良いイメージが残っていれば、カバーは可能じゃけどね。引退は勝負心をなくした時じゃないか?」と言われ、ハッとしました。私は体力や技術の低下を言い訳にして、本当の勝負を最初から避けていたのかもしれません。引退を考える土俵にすら上がっていなかったに過ぎませんでした。勝負してこそ本当の楽しさを味わえるはずなのに、それを忘れていたことに気付かせてもらいました。
引退を考える前に、もう一度勝負心を持って練習し、悔いが残らないバレー人生を送りたいという気持ちが強く込み上げてきました。クラブカップで全国大会に出場し、さらには天皇杯・皇后杯でもう一度真の勝負が出来るように頑張ろうと思います。
現役の皆さん、いつかまた本気の勝負をお願いします。 |