平成20 年10 月4 日(土)〜7 日(日)まで大分県としては昭和41 年以来2 回目となる「チャレンジ!おおいた国体」バレーボール競技が別府市、日田市、豊後高田市の3
市において開催されました。
国体の大分県開催が決まってから、私のバレーに関わる計画としては、A級審判員として活動していましたから、大分国体で最後の笛を吹いて引退しようと思っていました。審判員としての活動については、今年の3
月まで指導主事として教育委員会へ8 年間出ていましたので制約されるようになってはいましたが…。そんなところへ今から4 年前、県協会の総会が明日という日に県協会理事長(柏木正治先生
現県協会理事長〈16 期〉)から強化委員長をしろという突然の電話がありまして、考えさせてくださいという間もなく総会を迎えた訳です。このようなことから降って湧いたように私の強化委員長としての仕事が始まりました。どの都道府県の協会にも強化委員長はいると思いますが、中学校の教員は少ないと思いますし、まして拝命した時が国体を控え、教育委員会にいるというのは、まずいないのではないでしょうか。強化と言いますと小・中・高校生、一般、家庭婦人等多岐にわたっているのですが、国体を目前にしていましたから高校と一般を中心に強化していくのが主な仕事でした。
さて、私としては、これまでは国体と言いましてもあまり興味もなく、県予選や九州ブロックの国体予選の審判に行く程度で、その先の結果にはこだわっていませんでした。ところが強化委員長として結果を求められることになったのです。よく「大会の成功」という言葉を聞きますが、普通のブロック大会や全国大会ではトラブルなく大会が終了すれば成功でしょうが、こと国体に関してはこれに加えて地元開催県が優勝しなければ成功とは言えません。そういった意味でもかなりプレッシャーを受けていました。
少し話を変えますが、国体は県が誘致し、総合優勝(天皇杯)を目指すのか、目指さないのかは知事の意向が大きく反映します。例として高知県は、当時の橋本知事が勝たなくていいというスタンスで強化にあまりお金をかけず、天皇杯順位は10
位でした。私が強化委員長になる頃まで、大分県の知事は、予算をつぎ込んで強化をしてまで勝つことに県民の賛否両論の意見があったことから「開催県にふさわしい成績を目指す」という言葉を県議会の答弁等で使っていました。なんと分かりにくい、競技団体としてはどう強化していけば良いのか、本当に困惑していました。と言いますのは、知事の姿勢が強化に関わる予算に大きく影響してくるからです。おかげで間もなく「天皇杯を目指す」と明言してくれましたので私達協会としましても目指す方向がはっきりした訳です。ただ、大分県の国民体育大会局の強化方針としては、昔、国体ジプシーなどという言葉があったように、国体の時だけ選手を連れて来て勝つ強化策ではなく、中学・高校を含めた一貫した育成強化を行い、大分県の手作り選手の活躍により天皇杯を目指すという方針を出していました。国体を一過性のものにせず、競技力を維持していこうというのが大きなねらいでもあったのです。
国体は、開催県が当然勝つものと何も知らずに安易に思っていたような者が、絶対勝たなければならいという立場になったとたん、国体を見る目ががらりと変わりました。6
人制と9 人制とでは競技得点が違うことやシードがあり公開抽選で組み合わせを決めることなど、これまで気にもならなかったことが気になるようになり、総合優勝するための大きな課題となりました。
バレーボール競技は九州の場合、九州ブロックから1チームしか本国体に出場できません。バレーボールにおける大分県の競技力としては、少年女子(東九州龍谷高校)がこれまで何度か出場し、得点を獲得していますが、その他の種別は、九州に全国トップクラスの強豪が多く、例えば成年女子6
人制の久光製薬(佐賀)、9 人制男子の中部徳洲会病院(沖縄)等があるため、近年は出場していません。そのような中で、全種別出場出来るとはいえ、競技別総合優勝を目指すのは本当に厳しい目標でした。ちなみに、昭和41
年の大分国体ではバレーボール競技は総合1 位、皇后杯順位が5 位でした。このような状況の中で始まった強化ですが、種別によっては期待出来るものと厳しい結果が予想される種別とがありました。
春高バレーとインターハイを優勝した少年女子の東九州龍谷高校、Vプレミアリーグに昇格した成年男子6 人制の大分三好ヴァイセアドラー、クラブカップ大会を2
年連続優勝した9 人制女子の佐伯長陽会はある程度計算出来たのですが、あとの少年男子、成年男子9 人制、成年女子6 人制の3 種別については厳しい状況でした。
そこで、この3 種別については、県内の各チームから選手を選び、選抜チームを編成して強化に取り組みました。ところが、実際に強化の取り組みが始まってみると選抜チームというのは練習会場の確保や練習に集まるための移動時間、合宿や遠征の計画立案、職場や所属チームの理解、スタッフの選定など、実に様々な課題が出てきて大変苦労しました。特に成年女子6
人制については、県内に6 人制のチームが存在しないために、国体ではプレミアリーグやチャレンジリーグのチームと戦うことになる訳で、それと戦えるチームを編成するのに頭を悩ませました。最終的には、ふるさと選手制度(中学校か高校を卒業した県から出場出来る)を活用して、東九州龍谷高校の卒業生である大学生や社会人に協力してもらいチーム編成しました。広島大学からも橋原先生に無理にお願いして内原実栄子さん(2
年生:東九州龍谷高校卒)に出場してもらいました。このチームは核になるチームがなく、皆が全国ばらばらに所属しているため、全員が揃って練習することが出来ませんでした。セッターには全日本に入った河合由貴(JT)を起用しましたが、全員が揃って練習出来たのはなんと本番3
日前でした。
結果としては、成年男子6 人制の大分三好ヴァイセアドラーがJT(広島県)に、成年女子9 人制の佐伯長陽会が富士通テン(兵庫県)にそれぞれ勝って優勝、東九州龍谷高校が2
位、成年男子9 人制が5 位、成年女子6 人制が7 位になり、競技別得点184.5 点を獲得して競技別総合優勝しブロンズ像を頂きました。また、女子総合である皇后杯も優勝することが出来ました。
国体については日本体育協会が2003 年に「大会の充実・活性化」と「大会運営の簡素・効率化」を二本柱とした「国体改革2003」をまとめ、国体改革に着手しており、各競技において様々な変更が毎年行われています。来年から新潟、千葉、山口の順に開催されていきますが、特に山口県開催では多くの同窓の方々が関わることになると思います。ぜひ、成功に向けて頑張ってください。
私は、この4 月に全校生徒9 名の極小規模僻地校(と言いましても自宅から車でわずか25 分のところにある日出町立南端中学校)の教頭としてようやく現場復帰出来ました。ここは学校事務職員がいない学校ですから教頭としての仕事に加えて学校事務をしなければならないため、悪戦苦闘しながらも充実した有意義な毎日を過ごしています。
最後になりましたが、広島大学バレーボール部の今後益々のご活躍を祈念致しまして国体終了並びに近況報告とさせて頂きます。
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