世界文化遺産姫路城から北東へ約15km、私が勤務している中学校があります。中学校での勤務は現任校で4校目となりますが、部活動では新任からこれら4校すべての学校において男子バレーボール部の指導をさせて頂いています。兵庫県の中学校においても男子バレーの人気のなさ、教員数の減少による部活動数の縮小などの流れは強く男子のバレーボール部の廃部への流れはその勢いを増すばかりです。そんな状況の下、全ての勤務校で自分の希望通り、男子バレーボール部の顧問をできることは本当に有り難い限りです。
新任校は、大阪にほど近い阪神地区(尼崎市)の中学校でした。当時の中学男子バレーは「兵庫で勝てば全国でも勝てる。」という状況でした。そんな兵庫の中学男子バレーをリードしていたのが阪神地区(尼崎市)でもあり、先輩先生方に中学バレーについて本当にたくさんのことをご指導頂きました。尼崎市は交通の便が良いこともあり、近畿各府県はもとより東海・北陸からも、いわゆる中学男子バレーの強豪校という学校が練習試合に訪れることが多く、そんな機会には声を掛けて頂き、全国優勝を目指しているようなチームとの練習ゲームもたくさん経験させて頂きました。「強いチームを作りたい。自分もいつかは全国大会に出場できるようなチームを・・・」20
代から30 代前半の自分は「こんなに一生懸命教えているんやから良い生徒が集まった時には・・・」こんな思いで指導をしていました。
尼崎市内での中学校で3年間勤めた後、自分の地元でもある姫路市のベッドタウン的な地域の中学校への転勤となりました。1学年10 クラス、男子バレー部員も1年から3年まで合わせると50
人を超えるような大所帯でした。これだけいれば当然、身長が高い生徒や、能力の高い生徒もいくらかはいます。「これくらいの能力の生徒に自分がやってきたバレーを教えたらすぐに勝てるぞ。」自信満々で指導しました。しかし、こんな気持ちもすぐに打ちのめされました。兵庫でも安定して勝ち続けている中学校にはどうしても勝つことができません。自分自身の指導力のなさを痛感させられたのがこの頃です。今思えば、こんな甘い考えで指導していた自分が本当に恥ずかしく、当時の生徒達に本当に申し訳なく思います。
ちょうどこの頃、突然、広大バレー部の一つ上の工藤先輩(33 期)から連絡がありました。工藤先生は広島県で中学男子バレーを熱心に指導されていて、兵庫の強豪校と練習試合を組んで欲しいとのことでした。大学卒業以来、久しぶりに出会った先輩は現役時代とは違い(すみません)、中学生達に熱く指導されていました。自分のチームと比較しても、明らかに指導が徹底され、中学生達のバレーボールへの意識の高さの違いを痛感させられました。この練習試合を終えて、先輩が兵庫から帰る際に「本当に一生懸命バレーボールを指導しようと思ったら、広島へ来んさい。勉強になるで。」と声をかけてくださいました。
その言葉に甘え、すぐに工藤先生のところにお世話になりました。3時間半をかけて広島へ。練習ゲームの際には、胡明先生(26 期)をはじめ、広島や近郊の素晴らしい先生方とお出会いさせて頂き、バレーボールの指導についてはもちろんのこと、心のつながりのある生徒指導など学校現場で役立つ多くのことも教えて頂きました。
しかし、広島県の中学男子バレーのレベルは私の想像以上で、‘02奈良全中では広島県勢が決勝戦を戦うくらいでした。小学生の頃からバレーボールをやってきた子供達が中学校でさらに継続的に徹底した素晴らしい指導を受けることにより、本当に「巧くて強くて逞しいチーム」というのがいくつもありました。広島での練習ゲームでは、私も生徒たちもサンドバッグ状態に打ちのめされ、長い道のりをかけて地元兵庫へ帰っていました。しかし、帰ってみると不思議なことに「自分のチームも少し逞しくなったかな?」こんな実感が得られました。
この頃から、私の指導するチームの練習ゲームは、兵庫から西へ向かうことが多くなりました。広島や岡山で中四国地区の中学校とご一緒させてもらうと、広大つながりのおかげで本当に温かく接して頂けるのです。島根の中学校の先生方からは諏訪部先生(36
期)の活躍ぶりについて聞かせて頂き、愛媛の先生方からは「神野先生(34 期)にお世話になっています。」とのこと。そして、岡山では鳥岡先生(34期)の勤務する学校にお世話になったり、室先生(37
期)が私のチームが練習ゲームをしている会場までわざわざ足を運んで頂き激励してくださることもありました。
そうそう、合田先輩(33 期)の息子さん2人とも対戦させて頂きましたね。それから、現広大男子部主将(4回生)の小田君も中学時代に広島でも兵庫でも対戦させてもらいました。覚えていますか。
今年度も、新チームが動き出して3ヶ月が過ぎました。「巧さ」や「逞しさ」という言葉にはまだまだほど遠いチームですが、自分やチームを高めるために「広大つながりのありがたさ」や「新たな広大つながり」を頼りに西へ向かうつもりです。
先輩、後輩のみなさん、今後とも宜しくお願いします。 |