コートの仲間第21号 OBからの一言


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自分の思いを自分の言葉で
38期 東 京子
 岡山城東高等学校での勤務が4年目になりました38期のあずまです。「コートの仲間」で、同窓生の皆様に私の思いをお伝えできるチャンスを与えていただき、感謝しております。
 この原稿を書いている今日は11/12。そして明日、11/13は新チームになっての初試合。冬高予選の日であります。それも大先輩である「ひゅうまさん」こと鈴木渥子先生率いる和気閑谷高校との対戦、しかも和気閑谷高校が試合会場。完全アウェイではありますが、大先輩の大きな胸をお借りして、今までの練習の成果を発揮し、全力でチャレンジしたいと思います。
 さて、広島大学を卒業して20年、岡山県で高校教員に採用されて20年が経とうとしています。この20年の間に、私は幸いにも3人の子供に恵まれましたが、その子供達も私が部活に連れて行った影響もあってでしょうか、バレーボールを始めてしまいました。そして、そのおかげで小学生や中学生の練習や試合を見に行くことができ、今まで知らなかった新しい世界を垣間見ることができるようになりました。バレー会場での加熱した保護者の応援や指導者の子供達への接し方などを見ると、自分の指導のあり方や自分の子供への接し方などずいぶん考えさせられるところがありました。「どういう言葉で伝えたら生徒に自分の思いが伝わるのか」、「どういう言葉で伝えたら生徒がスキルアップするのか」、「どう接していけば生徒が一人前の社会人として成長するのか」、「どう励ましたら生徒がいきいきとプレーできるのか」。教員なりたての20年前には考えていなかったことです。20年前と変わらないことと言えば、なかなか自分の思い描くような指導ができないことでしょうか。
 毎年、3月に香川の高松大学で池内裕二先生のお世話になり、西村清巳先生を七塚原からお呼びして、西村先生に教えを仰いだ中四国、近畿の卒業生の指導するバレーボール部が集まって「西村杯」という交流試合を行っております。その開会式で西村先生からご挨拶をしていただくのですが、その毎年のご挨拶の中の言葉の一つ一つが、毎回毎回、心に響きます。「自分の思いを自分の言葉で伝えられる人間になりなさい。」「試合で勝つということがバレーボールをすることの目的ではありませんよ。受験という手段を使って人間を磨くように、バレーボールという手段を使って人間を磨きなさい。」などなど。まさしく今、教育現場で求められていることであり、私たちが生徒たちに伝えなければならないことであり、私たち自身が実践しなければならないことでもあります。
 大学時代、そして社会人になってからも自分がプレイヤーとして試合をする中で、そして指導者としてバレーに携わる中で、そして社会人として働き、生活していく中で、何度その「言葉」というものに助けられたでしょうか。「イン」、「アウト」、「お願い」、「ナイス」、「ドンマイ」などの短い言葉や周りのプレイヤーからの指示の言葉、ベンチや観客席からの応援の言葉。試合も勝てたときは良いのですが、負けたときはどういう言葉で慰めたら良いか、次に向けてどういう言葉ならまたモチベーションを上げることができるのか、など言葉選びに悩むこともしばしばあります。
 冒頭でも書かせていただきましたように、現在、私は岡山の東に位置する進学校、岡山城東高校に勤務しておりますが、優秀で人間味溢れる素敵な同僚の先生方、そして素直で頑張り屋で愛嬌溢れる生徒たちと楽しい学校生活を送っております。その学校生活が楽しく送れるのもこの「言葉」に鍵があるように思うのです。朝の「おはようございます」の挨拶に始まり、廊下での「こんにちは」の挨拶、そして職員室での他愛のない会話や冗談、練習中の生徒との会話など小さな言葉の積み重ねが人間関係を円滑にし、毎日の生活をいきいきと光らせてくれているように思います。
 今、企業で必要とされる主な能力はコミュニケーション能力、主体性、協調性、チャレンジ精神、誠実性、責任感だとか。私たちはそれらを養うような授業だったり、クラス経営だったり、部活動をできているだろうか。それらを養うような家庭での子育てができているだろうか。一人前の社会人にして高校を卒業させているだろうか。部活動を引退させているだろうか。反省すべきことや考えさせられること、そしてやっていかなければならないことはまだまだたくさんありますが、これからの残り半分になりました教員生活と家庭での子育ての中で、生徒や子供達が「自分の思いを自分の言葉で伝えられる」ようになるお手伝い、そして生徒や子供達の「人間磨き」のお手伝いをしながら、私も生徒や子供達と共に成長していきたいと思います。

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