コートの仲間第21号 OBからの一言


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バレーボールという作業
46期 辻 登志江
 みなさん、こんにちは。46期生の辻(旧姓:中桐)登志江と申します。
 広島大学バレーボール部のみなさんのご活躍、いつも楽しみにしています。私は、保健学科でしたので「霞キャンパス」という選択肢があったのに、それを知らずに入部させてもらった者です。入部してみると、すごいプレーヤー達ばかりでびっくりでした。勝つためのバレー、自分たちで考えて実践するバレーでした。また、「今のこの動きが少し先の何のためになるのか」も考えたり話していたりしていました。そんな先輩や同期の話を聞いているだけでとても勉強になりました。チームのためになる動きの実践も教えてもらいました。高校までのこととは全く違っていました。当たり前ですが、バレーボールはチームプレー。「一人はみんなのために、みんなはチームのために」ということを学んだ気がします。社会人になった今でも、職場に置き換えると「個人」と「集団・組織」、「現在」と「未来」。考え方はあの時のことがとても役立っていたと思います。
 3年生になると、私は霞キャンパスに移動しましたので、西条に通うことが困難になってきました。辞めるしかないかな、と思っていたのですが、ここでもまたバレー部とつながるチャンスをもらえました。学生バレーボール連盟(学連)です。大学生ともなると自分たちで大会を運営するんですよね。学業と同じくらいに大変で時間と労力のいる仕事をすることになったのですが、大会が運営されるには実にいろんな仕事があるわけです。会場手配、資料作成、備品揃え、大学や審判の方々とのやりとり、宿泊先、大会運営…これも私にとっては初めてのことでした。うまくいかなかったことも多々ありました。でも、これを頑張れば、広大のバレー部の活躍が見られる。練習にはでられなくても、試合会場ではチームメイトに会えるのがなんといっても励みであり、楽しみでした。チームメイトの活躍を見ると、心底嬉しかったです。学連のメンバーは各大学からでていましたので、諸手を挙げて喜ぶわけにはいかなかったですが、広大が優勝した時などは心で何度も「万歳!」を繰り返していました。
 卒業後は、作業療法士という仕事をしています。「作業」というのは「人の行うことすべて」を指します。身の回りのこと、学業や仕事・家事などしなければならないこと、余暇活動。常に作業をしながら、作業バランスを保ち、自分の人生やその人らしさを創っているのです。これらの作業のどれが欠けても「その人らしさ」は崩れるわけです。私たちは、「したいのにできていない作業があるクライエント」、または「作業バランスが崩れているクライエント」などに作業療法というものを行う仕事をしています。学生時代はしなければならないことがたくさんあって、息苦しさを感じていたこともありました。でも、バレー部の仲間はバレーが好きで、将来もなんらかの形で関わりたいと思っている人たちがほとんどだったので、そういう一生ものの作業を持っている人たちだからあんなに輝いてみえていたんだな、と今は思います。
 今の私はバレーボールとは直接かかわりがない生活をしていますが、大学時代までバレーをし続けて、仲間とやってきたことは、ひとつも無駄なことはなく、今でも会って懐かしく想い出話をすることで、やっぱり私にはどれも必要な作業だった、と感じています。打ち込める作業がある、ということはとても幸せなことだと思います。そして、無駄なことは何一つないと思います。「今」を大事に、「自分と周りの人」を大事に。これからも広大バレー部を応援しています。
 現在、結婚して徳島県に住んでいます。こちらで大会があるようでしたら、ぜひお声かけくださいませ。

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