コートの仲間第22号 OBからの一言


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最近思うこと
45期 大藪 久美子
 今度、原稿の依頼を受けて、学生時代を思い出す機会をいただきました。卒業時にこの、『コートの仲間』で誓ったことがあります。それは、選手が気持ちよくプレーに専念できる環境をマネージャーとして整えることと同じように、生徒一人一人の置かれた環境や今の状況を把握し、気を配り、子どもたちが心地よく過ごせる環境を作ることができる、よく気の利く教員でありたいということでした。それから早、15 年の月日が経とうとしています。この間、3年間の特別支援学校勤務や4 年間の育児休業などを経て、今は進学校の数学の教員として生徒と共に学ぶ日々を過ごしています。障害のある子どもと陸上競技部の顧問として共に走ったり、専業主婦として学校からしばらく離れたり、時代と共に移りゆく生徒の様子に戸惑ったりと様々な経験をしました。思えば、採用された22 歳の時に30代半ばの先輩教員の方々の働きぶりを見て、「私もあんな風に格好良く仕事をこなしたい」と憧れを抱いたものでした。しかし、いざその年代になった私はというと、授業一つをとっても後悔や反省の毎日で、後輩教員の頼もしさとは裏腹な、我が身の不甲斐なさに落ち込むばかりです。
 果たしてこんな私が、気が利く人だと思われているとは到底思えませんが、心掛けていることがあります。それは、気が利く人であるためには、子どもに声を掛けて状況や変化に気がつかなくてはならないので、廊下で生徒とすれ違った際には用がなくても声を掛けたり、朝夕の教室でのひとときでも他愛のない話をしたりして、生徒の様子や情報を収集することです。そういった毎日の中で、仕事では無理をしなければならない状況も生じてきます。先日「先生、張り切っているね」と言われ、「張り切っているんじゃなくて、無理して頑張っているんだよ」と言ったことがあります。社会人としての頑張る大人の姿を子どもたちに見てほしい、そして、私の日々の声かけによって見守られていると安心してほしいと思っています。
 また、最近よく感じる事として、「見守ることの大切さ」があります。事前にその状態を失敗しないようにフォローするのではなく、気がついていながらも何もせずに見守ることです。例えば、日々の子育ての中で、娘が転んでも危険が及ばない限り私はすぐには抱き上げません。自分で起き上がるのを待ちます。待つ、見守る場面は日常茶飯事で、とても忍耐が必要です。手を差し出す方が早くすむのですが、あえて知らないふりをします。そうした子育てのおかげか、幼くても自分の身支度は勿論のこと、家事もよく手伝い、姉妹で助け合うようになりました。娘が悩みながら試行錯誤する姿を、知らぬふりをして気づかれないように見守ることは、実はとても楽しいものです。このことは、教員として生徒を活動させる事にも生かされます。自主・自律を校訓とする勤務校では、生徒が主体となって教員が陰で支えるスタイルを取っています。行事をこなす度に、悩み、反省し、次に生かす姿に生徒の成長を感じます。
 子育ても教員という職業も私が主役になることはありません。常に陰で支え、よりよい環境を作る点ではマネージャーとよく似ています。その裏方がとても心地よい自分の居場所となっています。今は、最近の趣味に通じる園芸部と、高校時代から稽古を続けている茶華道部の顧問として、充実した日々を過ごしています。
 毎年、本誌で先輩や後輩の記事を読み、参考にさせていただき、私も人としてより成長したいと思っています。勤務校には広大生になろうと日々受験勉強に励む生徒もいます。憧れの先輩である現役生のますますのご活躍を楽しみにしています。

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