卒業生の皆さん、ご無沙汰しております。38期の佐賀野です。大学院生が長かったのですが、平成10年度から独立行政法人国立高等専門学校機構の呉工業高等専門学校(人文社会系分野 保健体育)に勤務し現在に至っております。いつのまにか呉高専への勤務が18年目になりました。
高専という教育機関自体あまり知られておりません(ロボットコンテストは有名かもしれません)が、中学卒業後の5年制の学校で、卒業すれば「準学士」の学位(短大卒と同等)を取得できます。その後は、一般企業に就職したり、4年生の大学の3年次編入したり、高専の専攻科に進学したりという進路があります。
もともとは即戦力となる技術者を養成する学校でしたが、高専を取り巻く社会状況もどんどん変わりつつあります。平成16年度からの法人化(これ以前には教職員は国家公務員の身分であった)や高専卒業後の専攻科(各高専に設置されており、2年制の課程を修了すれば学士の学位が取得できる)の設置などです。現在は高専を卒業することで「学士」の学位(大学卒と同等)を取得できるようにすることも検討されているようです。
これにともなって、教員の研究レベルの向上も求められるようになってきました。最近では、高専の教員になるためには大学院博士課程修了(博士号を取得している)が前提になっており、ある程度の研究業績がないと就職は難しくなってきています。
このような状況のなかで、私も修士(教育学)の学位しかなく、まず博士号を何とかと言われておりました。昨年度、高専と技科大の関係(多くの高専生が豊橋技術科学大学や長岡技術科学大学に進学しており、高専と技科大でいろいろなプロジェクトを行っている)のなかで、長岡技術科学大学にスポーツ専門の先生がおられるので、そこで学位の申請をされたらどうですかとの話をいただきました。
そして、私が大学院へ進学したころより西村先生や橋原先生、また現在大学院生の西博史くんなどと行ってきた映像解析によるバレーボールの技術分析の研究業績でもって、長岡技術科学大学に学位申請を行いました。テーマは「DLT法を用いた新しい球技分析システムの開発とバレーボールへの適用」です。その結果、この3月に何とか博士(工学)の学位を取得することができました。本当にこれまで一緒に研究してきた方々、いつも応援してくださった皆さまに感謝の言葉しかありません。
もちろん、これで全てが終わったとは思っておりません。この研究テーマを発展させ、研究業績をつくり、これまで私に関わってきてくださった方々に恩返しすることが私の役目だと思っております。今は、DLT法を用いた映像解析をiPadなどで容易に、また即時的に使えるようにできないか、さらに中学や高校において映像解析を利用した授業ができないかと共同研究を始めたところです。
もし、同窓生の方でこのようなことに興味がございましたら、ご一報ください。今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。最後になりましたが、広島大学体育会バレーボール部のますますの発展を祈念しております。
P.S.現在、インターネットで無料閲覧できるcomicoマンガで「それゆけ女子高専生」というのが連載されております。次のように紹介されております。「高校でもない?大学でもない?未来のエンジニアのエリート(自称)たちが集うヘンテコな学校“高専”に通う女の子のお話。普通の女子高生とはチョット違う“女子高専生”のあるあるを描いていきます。オマケにプチエッセイ付き」10月27日に「おはよう日本」でも紹介されたらしいですが、作者(ペンネーム:林檎子)は呉高専の卒業生です。ぜひ、ご覧ください。
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